復讐の芽 ***藤林長門守*** 夢の芽3
復讐の芽 ***藤林長門守***
夢の芽3
 幾つもの尾根道を越え手引きに連れられて一晩歩きづめて靄の中小橋の下にたどり着いた。
「ここまでよ。後は頑張りな」
 いつの間にか先頭の女忍は消えた。5人は暗黙の裡に着替えて2人と3人に分かれて潜入する。凛が茉緒と野良着に変えて姉妹で山道を歩く。狭い道だが伊賀の主要な街道だ。尾根道を越えたことで幾つもの国を超えたことになる。探索のこの仕事はまだ未熟な忍者の仕事だ。
「館は私が」
「では付近は」
 凛が頷いて消える。茉緒は茶店に掛けて館を覗く。
「また戦か。地侍が集まってきている。30人ほどが入ったな」
 店に主人の話声がする。茉緒は異常に遠くの声が聞き分けられる。
「藤林さまはまた服部と?」
「いや今度は六角家の仕事らしいな」 
 耳を澄ませているが目は門に注がれている。裏木戸は忍者屋敷に似合わず人の出入りが多い。まだあたらいい石垣を組んだらしくこの2つの入り口以外からは入れそうにない。
「お館さまは昔からああして頭巾をかぶってたのか?」
「いや、15年前の大火事で火傷をしてらだ」
「奥方は?」
「その日は実家に戻っていらしゃったそうだ。可哀そうに一人息子は焼け死んだのだよ」



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テーマ:歴史小説 - ジャンル:小説・文学

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Author:yumebito86864
夢人です。『夢追い旅』『ぽろんの女』『空白』『刺青』と書き続けてきましたが、すべて古いノートから書き起したものです。今回は初めて時代物でこれは私の夢の中で永い時間をかけて育ったものです。



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