復讐の芽 ***藤林長門守***
復讐の芽 ***藤林長門守***
激動14
 敗戦が続く中続々と織田本軍の部隊が到着している。滝川軍の本陣が空けられて信長が最後に到着した。今回は秀吉も光秀も参加していない。これで包囲網は15万を超える。夜になって順慶と茉緒が呼び出された。
「もはや和解はない」
と信長が開口一番明言した。
「どうだ順慶?」
「包囲は穴だらけで相手の本陣が掴めてません。とくに弱いところです」
 これは茉緒が報告した地図だ。
「茉緒はどうだ?」
「これはまだ完成していませんが」
 これは相手の陣を地図に書きいれている。
「どうもこの半島にある寺が本陣ではないかと。寺からは3つの道が付いていて各陣に繋がっていると思われます」
 茉緒は3度この半島に登り地形を調べている。
「ここを攻めるには?」
「九鬼殿の鉄鋼船をこの海峡に陣取らせ大砲を打ち込めば効果が」
「崖から登ることは?」
「私の部隊で縄梯子を準備しますので船から鉄砲隊を上陸させては?でもここを攻める前に海峡を制圧する必要があります」
「分かった。順慶は各将と図ってくれ。茉緒は残れ」










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激動13
 そろりは果心居士ではないか。その気持ちが日に日に増してくる。だが一月の間6か所の包囲網が切られ食糧庫が襲われ九鬼の船が5隻焼かれた。ついに昨夜は滝川の陣が襲われ滝川殿が鉄砲で撃たれ大混乱してる。順慶は慎重に包囲網を固守している。勝負は信長が来てからだ。
 茉緒は何度か長島の一向衆の拠点にそろりの地図をあてに潜り込んでいる。そのうちここがだろうと目を付けたところがある。下忍を3人小舟に乗せ岩場に上陸する。そこから崖をよじ登る。やはり寺の白壁だった。
 茉緒一人床に潜る。半島の先端なので織田軍からも攻撃がなく無警戒だ。ここはそろりも無印だ。
「食糧は?」
「後1月が限界です。しばらく織田の食糧庫を襲撃続けます」
 節穴から僧侶の顔が見える。
「現在鉄砲は?」
「鉄砲衆の持つ1千艇に今回本願寺から5百艇が入っています。とくに忍者衆の働きが目覚ましく」
「誰が?」
「藤林の頭が50人を指揮されて」
 慎吾が来てる。
「信長は?」
「武田に手を取られて」
「明日は予定通りにな」
 翌日やはり織田の倉庫が同時に3か所が襲われた。







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激動12
 陣に到着すると下忍を各所に配置した。その翌日九鬼の船団が港に付いた。約束通り秀吉が慌ただしく順慶の陣に顔を出した。
「ご苦労だな」
「ご無沙汰しています」
 順慶がわざわざ出迎えて上座に座らせる。あれから秀吉は明智光秀と争うほど出世している。
「滝川殿の下だな。あの人は苦手だ。見た感じ思わしくないようだの?」
 小姓姿の茉緒が呼ばれて秀吉に頭を下げる。
「鉄砲を頂きまして」
「ここは鉄砲がなくては戦いにならんわ」
「秀吉が指揮を取られる?」
「いや調査をしたら京に戻れと言われておる。どうだ?」
「今調べさせていますが包囲網が穴だらけのように」
「今回で4万越えたはずだが?」
「この地形では包囲網はこの数では無理です」
 下忍から報告を受けてる。
「倍がいるか?順慶は焦らず信長殿が来るのを待つがいい。茉緒はついて参れ」
 秀吉はそそくさと陣を出ると港の前に修験者から文を受けとる。しばらくそれを見て茉緒に渡す。それは一向宗の配置図だ。よく調べられている。
「茉緒が気にしているそろりだ」
「ここからは頼みますよ」
 そろりがどこかで見た笑いを投げかけている。






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激動11
 和解とともに本願寺から反対派が長島に飛び出した。これがよかったのかどうか茉緒には分からない。ただ織田にとっては和解は大きな成果だ。
 茉緒は1日で荷隊に追いついて筒井順慶に目通りした。
「茉緒の選択は正しかったの。慎吾はどうしてる?」
「本願寺で会いました。今頃長島に向かっていると思います」
「敵としてまみえるのか」
「順慶さまは長島に?」
「明日朝出発する。滝川殿に従い1万8千に加わることになるがそれほど手ごわいのか?」
「一向宗の数もですが鉄砲が勝負を分けると思われます」
「秀吉殿は?」
「海から向かわれます。秀吉さまはこの戦いは最後は信長さまが」
「やはりな」
「茉緒は?」
「先陣を受けたまわりたく」
「秀吉殿の指示か?」
「はい」
「よろしく頼む。今夜は久しぶりにどうかな?」
 茉緒はしばらく抱かれていない。




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激動10
 2度目の水軍の戦いは織田の鉄鋼船の圧倒的な勝利に終わった。本願寺は徹底抗戦の勢いが強く小競り合いが続いている。あの和解話はなんだったんだろう。そんな時に利休から呼び出しがあった。
 秀吉が同席しており利休の手に文が握られている。
「和解が届いた。殿にはすでに了解は取ってある」
 どうも秀吉と利休で話が出来ていたようだ。宗久は用済なのだろう。
「儂と茉緒は宗久の代人として本願寺に出てくれ。同時に荷隊に用意してある500艇の鉄砲と火薬を筒井に届けてほしい」
 長島攻めだ。本願寺の和解はこのためだ。長島ではもう何度も失敗を続けている。
「次は信長さまが?」
「そうもいかん。武田が迫っている。殿の出られる前にかたを付けたいものだ」
「今回不問に伏されたが、長島には宗久の千艇の鉄砲と火薬があります」
 利休はどこまで知っているのか。
「本願寺が済めば水軍で向かうが茉緒はどうする?」
 これは行けという秀吉の言い回しだ。
「そろりを助けてやってくれ」
「そろりさまは?」
「いずれ分かる」










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yumebito86864

Author:yumebito86864
夢人です。『夢追い旅』『ぽろんの女』『空白』『刺青』と書き続けてきましたが、すべて古いノートから書き起したものです。今回は初めて時代物でこれは私の夢の中で永い時間をかけて育ったものです。



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