復讐の芽 ***藤林長門守***
復讐の芽 ***藤林長門守***
天下の行方10
 決断をすれば秀吉は早い。もう次の日にはすべてを投げ出して姫路に走り出した。茉緒は5人の下忍を連れて前日には姫路を抜けて尼崎に入る。用意された寺に薬売りが5人探索を終えて集まっている。京の小頭の女忍も到着ている。
「どうだ光秀は?」
「公家筋以外は馳せ参じる武将は今のところいません」
「秀吉さまの軍の大返しは?」
「まだ伝わってはおりません」
と言って山崎に陣を張った光秀の地図を差し出す。
「これをすぐに秀吉さまに届けるのだ」
「堺から新たに10人の下忍を山崎に配置しました。それが不思議なことがあります。山崎周辺に服部が20人ほど潜んでいます」
「服部と言えば家康だな。参戦した様子は?」
「家康は堺にいます。手勢は少ないですが、2百人の服部が控えてます。動きを見ているとしか」
「そろりの勘が当たるやも」
 慎重な家康は光秀が天下取ったら動くだろう。
「こちらも家康を見張っています」
「現在光秀に対抗できる畿内の勢力はありません」
「小頭は堺に戻り家康を見張を指揮するんだ」









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天下の行方9
 高松城での高松城主の切腹で慌ただしく片が付いた。どうも信長が出てくる前にという毛利と秀吉が急いだ感じがした。茉緒は京の状況が異常に気になっている。すでに薬売りは2日前に堺に戻している。下忍は半分は高松城に残りは姫路までの街道に出した。そこに京に走らせた下忍が飛び込んできた。
「お頭!」
「謀反か?」
「明智光秀が本能寺を襲撃しました。本能寺に潜っていた下忍が3人。2人は襲撃で死にました。1人は外回りにいた下忍2人が救い出しました。下忍が言うにはそろりが天井裏にいたと言うことです。彼は秀吉さまに連絡に走ると言っていたそうです」
「そろりならもう着いてる。私は秀吉さまに目通りするが、残っている下忍は全員京に向かう」
「どうなるのですか?」
「おそらく秀吉さまは天下を狙うわ」
 その足で秀吉の本陣に潜る。やはり秀吉は黒田孝高と二人きりで話している。背中にそろりを感じる。
「天下を狙う時です」
 秀吉は半刻も黙っている。
「茉緒街道の手配と光秀の動向を調べるのだ」
「分かりました」
「孝高は皆を呼べ」
「そろりさまは京へ?」
 暗闇に向かって口だけを動かす。
「秀吉は明智光秀に勝つ。問題は家康だ」

















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天下の行方8
 茉緒の報告で和解の準備が慌ただしく始まった。了解を信長に取れば後は終わりだ。その伝令に秀吉はまたも茉緒の配下を使った。秀吉は茉緒が信長と繋がっていると思っているらしい。
 返事は京の別の下忍が持ってきた。城主の切腹と安堵の領地が少なかったようで秀吉自身が高松城に出かけている。茉緒はその配下に5人の下忍をつけたが、自らは本陣に残った。
「もう少し詳しく話すのだ」
「光秀さまは公家方と歌会を開かれました」
「その後は?」
「一人で眠られました」
「公家は?」
「飲み会をされていましたが盛り上がってたとか」
「そろりさまは?」
「徳川さまを探られていて服部と切り合いに。こちらからも5人が応援しましたが」
「そろりさまは何か?」
「警備が厳重すぎると。服部の忍軍が百人に増えてたそうです。それと光秀さまと何か約束をしたのではと疑っておられました」
 光秀と家康はそれほどの縁はなかったんだが。
「信長さまはもう京に?」
「2,3日のうちには本能寺に」
「京には武将が?」
「光秀さまだけです」
「今から戻り本能寺に詰めるように」
 何かが胸騒ぎがする。





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天下の行方7
 高松城に入って2月になる。秀吉は得意の水攻めを始めた。和解がなかなか進まないのだ。毛利の中で意見が分かれていることもあるのだが、高松城主が徹底抗戦を掲げている。秀吉は信長を迎えるので気が気ではない。水攻めが始まって茉緒らも城から引き揚げて毛利を探っている。
「ここは和解されたほうが?」
 安国寺恵瓊という僧だ。この男は度々秀吉と密会している。軍師だが野心が強い。
「そうもいかぬ」
「水攻めで1月も持ちません。それにその頃は信長が参ります。その時では和解は無理かと」
「無理か」
「もはや信長を止める勢力はないと。毛利が生き延びるには秀吉殿と組むしか」
「分かった」
 立ち上がったのは小早川 隆景だ。
「茉緒殿、ご覧の通りだ」
 恵瓊はわざと手の内を見せた。
「文で知らせるより茉緒殿の口からのが信頼されるだろう。将軍も懐かしく話されていた。毛利は信長殿の配下ではなく秀吉殿の配下になるとお伝えください」
「確かに。その代り毛利の忍者をお下げ下さい」
 茉緒の下忍が要所に5人配置しているが毛利の忍者は20人ほどがいる。
「魚住なるものが先導仕る」
 いつの間にか茉緒の前を軽く頷いて忍者が走り出した。







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天下の行方6
 中国攻めも思ったようにいかない。急に秀吉から内々に呼び出しがある。茉緒は情報を全力を挙げて収集してるが先月から秀吉の周辺に下忍を5人張り付けている。毛利の忍者が秀吉の暗殺を仕掛けているようだ。
「どうだ?」
「やはり毛利の手のものと思われます。2度ほど潜ったのものと手合わせしましたが伊賀ほど手ごわくはありません。現在の警備でよかろうと思います。でもそろりさまがおられれば」
「それがなあ。そろりは京に行っておる」
「秀吉さまの依頼で?」
「いやそろりの勘だ。だが儂もな。茉緒も同じ勘では?京に下忍を張り付けているそうだの?」
 そろりが隠れていたのか。
「確かに今の光秀はおかしい。お館さまは恐ろしい。だがみなはそれで走りまわっとる。だが・・・」
 自分達とは違うと秀吉は言ってるのだ。
「元々お館さまは光秀の将軍との間柄を利用された。次に朝廷だ。だがもう利用するものがない」
 話しすぎた顔になって、
「ところで京でそろりに力を貸してやってくれ。それから茉緒は高松城に入って和解の状況を調べてくれ」
「すでに仕掛けられた?」
「毛利ともな」











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yumebito86864

Author:yumebito86864
夢人です。『夢追い旅』『ぽろんの女』『空白』『刺青』と書き続けてきましたが、すべて古いノートから書き起したものです。今回は初めて時代物でこれは私の夢の中で永い時間をかけて育ったものです。



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